はんなり便り
2021.04.5
『復活の日』小松左京
小松左京「復活の日」角川文庫 437P

コロナ禍の世界を予言していた、と一時少し話題になった
小松左京「復活の日」

SFも好きなジャンルなのですが、小松氏の作品はほとんど読んだことが
無い事もあり、今回手に取ってみました。

その災厄は『何となく咳が出るなあ、風邪かなあ』
人がそんな程度の意識をするところから始まります。
ところが症状は風邪どころでは済まず、どんどんエスカレートし、
いつの間にかバタバタと人が倒れる(亡くなる)状況に。
同じ状況は世界中で起こり、大パニックに・・・ 
お話はざっくりとこんな感じです。


中盤ぐらいまでは、このウィルスが世界中に広がっていく様子と、
その裏側にある「原因」が描かれるのですが、
読み進めるうちに、あれ?というデジャブのような変な感覚に包まれました。
私が思ったのは
「え?これってコロナと一緒やん。」


まるでアフターコロナに書かれた作品かのように、展開がほぼ同じなのです。
でも作者・小松左京は残念ながら故人。
そんなことは有りえないと分かりつつ、あまりに状況の一致が不思議なので、
思わず文庫の奥付の発行年月日を確認しました。そこには・・・

『昭和50年10月初版発行』とあります。

引き算すると、46年前(!)
ついでに言うと自分とほぼ同い年やん・・・
(作品自体は1964年に書き下ろされています)

はえーっ」と
超一流作家の想像力に驚嘆したのでした。

さて、話を物語に戻しますと、作中の世界の方は、
徐々に我々の世界の状況よりもさらに悪い方に進んでいきます。
その世界の展開と比べれば、この世界のコロナ禍による影響は全然まし、と言えるでしょう。
そして、最終的に全世界で生き残った人々は南極大陸に閉じ込められることとなります。


人類存亡の危機に立たされた人々が「復活の日」を迎えることができるのか?
結末が気になる方はぜひご一読ください。


さて、このようにSF作家・小松左京の想像力に驚嘆し、
満足して読了した本書ですが、1つだけモヤモヤした点が。


作中の生き残った人々は最終的に団結して危機を乗り越えようとします。
国・人種・年齢・性別、関係なくです。
が、かたやこの現実のコロナ禍の世界に目をやると・・・
某国と某国の諍いから始まり、とても団結しているとは言えない世界・・・。
そこはやっぱりフィクション、残念ながらこんなうまくはいかんよなあ
という思いが残りました。


小松左京がもしこの状況を見たら、どんな小説を書くのか?
アフターコロナの世界がアンハッピーなものにならないことを願いたいものです。

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